首相官邸脇のヘリポート。
 Gアイランドへ向かう加治首相らと彼らを見送る人々がヘリポートに出てきたときには、まだ101は到着していないようであった。
「まだ来ていないようですね」
 加治にそう話す五十嵐に、セリオが口をはさんできた。
「マスター。南方向500mに高速移動してくる物体を2体検出しました。ビルの屋上を跳躍して接近してきます。・・・後100m・・・、50m、40m、30m、20m、10m、来ます!」
 セリオのその声と同時に2つの物体が加治たちの目の前に飛び降りてきた。
「加治首相ですね。初めまして、101こと山野浩一です。この黒豹は僕のしもべのロデムです」
 その物体は少年と黒豹の姿をしており、何事も無かったかのように挨拶をしてきた。加治は空中から飛び降りてきた彼の超人的能力に驚いたが、それでも101の挨拶を受けた。
「首相の加治隆介です。今日の護衛をよろしくお願いします。ところで本当に君が五十嵐君の誇る101なのかい?もっと、そう007のような男を想像していましたよ」
「ええそうです。ご期待を裏切ったようですいません。それに出来れば今日は名前で呼んで欲しいですね」
 苦笑しながら彼、101が加治に返事をした。
「それは申し訳なかった。でも、どちらにせよ想像以上の男のようですね。新ためてよろしくお願いします。山野君」
 加治がそう言って101に手を差し伸べると、101もそれに答えて握り返した。
「こちらこそよろしくお願いします」
「ハイハイ、私は鷲羽。鷲羽・フィッツジェラルド・小林。鷲羽ちゃんと呼んでね」
 わきから同行する鷲羽が口をはさんできた。
「はいよろしくお願いします。え〜っとそちらのメイドロボも同行するのですね」
「はい、私は加治首相付きメイドロボ、HM-13セリオです。今日はよろしくお願いします」
 加治の合図でセリオも挨拶する。
 それぞれ挨拶が済むと待機していたヘリコプターに一同は乗り込んだ。


 

加治首相の議

 

B は・・・

「ね〜ね〜、あんた何歳?」
「16歳ですけど」
 飛行中のヘリコプターの中で、鷲羽が早速年齢のことを101に訊いていた。それはそうであろう。諜報の世界で名を馳せている101の外見は16歳の少年そのものである。その16歳という返事を聞いた加治が山野に質問した。
「16歳で諜報の世界で名を馳せるとは。五十嵐君も君のことを自慢すると同時に、何か借りがあるようなことを言っていたが、いったい君はどういう人間なのかい?」
「言わねばいけませんか?」
「出来ればそうして欲しいね。私は今、少年を戦場に立たせてしまったことを後悔しているんだ。君も未成年であるならば、五十嵐君に命じて危険なことをさせないようにしたい。」
 少し考えた後で山野は加治にこう答えた。
「その心配ならばご無用です。首相が本当に私のことを心配しておっしゃってくれたことはわかりますが、僕の力は既にこの世界でも知れ渡りつつあります。今更引退は出来ませんよ。」
 それから山野は自分の事、つまり普通の中学生「浩一」から「バビル2世」に生まれ変わった所から加治に語り始めた。


 話は一旦その日の早朝に戻る。
 都内のとある住宅街に居を構える山野家では3年ぶりに帰宅した家出息子が熟睡していた。リビングでは両親が二階の息子を気遣っていた。
「母さんや、浩一はまだ寝ているのかい?」
「ええ、よっぽど疲れていたのね。今まで何をしてきたのかしら」
 この家出息子こそ日本連合政府、五十嵐内閣情報室長の切り札である101である。彼は3年前、5千年前の宇宙からの遭難者が遺したバビルの塔に導かれて家出をし、そこで超能力少年バビル2世となったのである。
 彼はいろいろな超能力を発揮したが、その肉体も常人のものとは違っていた。彼の血液は瀕死の人間を治癒させる特効薬であると同時に、輸血された人間を超能力者にしてしまうこともある。バビル2世とその仇敵ヨミとの戦いを知ったアメリカ合衆国CIAは、バビル2世の情報を収集する中でその血液に目をつけ、山野に医学研究と偽って彼をある研究所に閉じ込めて血液を採取したのである。そしてその血液で何人もの超能力者を生み出しては、彼らをスパイ活動や敵国政府高官の暗殺、政府転覆活動に使ったのである。ちなみに101と言うコードネームは、このときにCIAがバビル2世をコンピュータに登録した番号に由来している。
 CIAの計画に気が付いた101は研究所を脱走し、CIAの追跡をかわしながら自分の血で生み出された超能力者を倒しつづけていった。
 当時、日本政府の国家保安局長でありバビル2世の手助けを受けて数々の事件に対処したことのある五十嵐も、CIAがバビル2世を狙っている情報を掴むと同時に彼に警告しようとはしたが、時既に遅くバビル2世は彼を守る3つのしもべごとアメリカ本土でCIAの虜囚になっていたのであった。日本の諜報活動の中心であった国家保安局とはいえ天下のCIAとアメリカ合衆国内では張り合えるわけも無く、そのまま何も手を打つことが出来なかったことが五十嵐の負い目となっていた。
 その後も五十嵐は101が研究施設を脱出し、CIAの超能力者を倒しつづけた情報だけは掴み続けていたが、101が囚われていた3つのしもべを解放した直後から完全に見失っていた。
 その頃の101は自分の血を使って仇敵のヨミを復活させようとする陰謀に気が付いていた。そして101は完全復活前のヨミが治療を受けている建物を探し出しそしてかろうじて倒したが、同時に瀕死の重傷を負ってしまった。その場を警備していたガードマンたちは建物の外へ続く101の血の跡を追跡したがその跡は途中で途切れ、それ以来101ことバビル2世の姿は合衆国から消えてしまったのであった。
 実は101はロデム達3つのしもべの手により合衆国を脱出し、バビルの塔へと辿り着いていた。しかし超人的な治癒能力を持つ101でもバビルの塔での治療に1ヶ月はかかっていた。その治療中にバビルの塔と3つのしもべごと時空融合に巻き込まれていたのである。
 そして完治後日本を目指した2ヶ月に渡る放浪の後、ちょうど中華共同体派遣国交交渉団にSPとして同行していた元・国家保安局調査員の伊賀野と北京で再開したのであった。


このあたりのお話は、構想中のスーパーSF対戦外伝「君の名は101」で触れる予定です。
CM終わり。


 伊賀野からは自分の家族もこの世界に来ていることを告げられてはいたが、裏の世界に巻き込みたくなかった事と家を離れているうちに新しく出来たもう一つの理由で、日本に帰国した後はしばらく帰宅する気は起きなかった101であった。だが五十嵐室長からCIAが彼の家族を拉致して人質にする計画のあったことと、それを防ぐために国家保安局が密かに警護していたことを聞かされると101は考えを翻し、Gアイランドでの対使徒ゼルエル戦の情報収集がひと段落したあと両親の元に帰っていたのである。


「まーま、にーたん、にーたん、でんわ」
「な〜に、ひろこ。でんわがくるの?」
 新しく出来た理由が母親の注意を惹こうとしていた。母親が朝食の準備の手を休めて振り返ると、ちょうど電話が鳴った。
「あら、またこの子ったら電話が来るのを当てた見たい。ロデム、浩子の面倒を見ていてね」
 電話を取ろうと動き出したら、既に2階で寝ていたはずの浩一が電話を取っていた。
「はい、山野です」
『おはよう、山野君。五十嵐だ』
「おはようございます、五十嵐局長。今朝はどういうご依頼ですか?」
『うむ、川崎沖で何が起きているか君自身が一番知っていると思うが・・・』
 電話は日本連合政府の今は暫定総理府に所属している内閣情報室長の五十嵐からであった。加治首相から内々にGアイランド訪問の意向を受けた五十嵐が、バビル2世に加治首相警護の依頼の電話をかけてきたのであった。なぜ昨日のうちにかけてこないのかと言うと、そこはバビル2世の超能力で山野家警護のSPの目をもくらまして帰宅しているのをごまかしていた。とでも言うほかは無い。
 とりあえず電話が終わりリビングに入った浩一が見たものは、ゆりかごに変身して1歳の妹をあやしているロデムであった。バーバーパパかい。
「おい、ロデム。アルバイトが入った。これから出かけるぞ」
『はいご主人様』
 ロデムはゆりかごから黒豹に戻った。背中に幼児を乗せた姿のままであるが。
「浩一、また危ないことをするの?由美子ちゃんから聞いているのよ」
 バビル2世の戦いを目撃したことのある浩一の同級生だった由美子から話を聞いたことのある母親が訊ねた。
「大丈夫だよ。今日のアルバイトはただの警護なんだから」
「警護って、VIPの盾になる危ない仕事じゃないの!」
 いい感してるね、お母さん。そう思う浩一であった。
「でもねお母さん。これは僕でないと・・・」
 焦りながら必死で説得しようとしていた。
「に〜たん、がんばってね。ま〜ま、に〜たんこまらせちゃダメ」
 浩子が介入してきた。そして父親も話に入ってきた。
「浩一、誰の警護かは話せないのか」
「・・・行き先は言えないけど、加治首相の警護を頼まれたんです」
 守秘義務もあるので行き先は告げなかったが、警護対象だけは伝えた。
「浩一、おまえが呼ばれるからにはよほど危険なところに行こうとしているのだな。加治首相は。いやなにも言わんでいい」
 そう言うと父は母を説得し始めた。
「なあ、母さんや。おまえもこの子の力を知っているだろう。それが必要だとされているんだ。3年前と違って必ず帰ってくるんだから笑顔で送り出そうじゃないか」
「でも・・・」
「かーたん、だいじょーぶ、にいたんぶじもどる」
 浩子も母親を慰め始めた。
「・・・そうね、浩子ちゃんの言う通りね。浩子ちゃん感が良いから、今まで間違えていなかったわね」
 そう、浩一が家を出ているうちに生まれた妹の浩子は、すごく感のいい子であった。浩一が3年ぶりに帰ってきたときも、家への角を曲がろうか曲がるまいか迷っている時に、「にーたんかえてきた」といって母親を表に連れ出したのである。
「わかったわ、浩一。がんばってきてね」
 振り切るように母親は言った。それでもまだ危険に飛び込む我が子を心配する気持ちはありありと表情に出ていた。
「うん、母さん。行って来ます。ロデム行くぞ」
『はい、ご主人様』
 浩子を父親に預けたロデムが、先に玄関を出て行った浩一、101の後を追った。
「あっ、浩一!加治首相のサインを貰って来てね(ハート)」
 どべし
 母親のミーハーな頼みに、ジャンプのタイミングを外してこけた101の様である。


 話が一段落したところで、ヘリはGアイランド上空に到着した。
「山野君、君が普通の少年に戻れない事は良く解った。五十嵐君も君の超能力でしか対応できないことだと判断した上で君に依頼するのだろう。しかしそれでも少年に、普通の大人より能力があるとはいえ危ない橋を渡らすのはいい気はしないものだ」
「でも首相。僕はこの力を得る時、バビル1世から地球を征服するのも人々のために使うのも自由だと言われ、人々のために使うことを選んだんです。首相と同じことです。首相が辞めろと言われても、僕は人々のためなら危険に飛び込みます」
「・・・君も割と強情だね。でも、この脅威に満ちた新世界では君のような若者はとても心強いよ。これからも人々のためよろしくお願いします」
 加治は新ためて101に協力を依頼した。
 さて、ヘリコプターは初号機を遠くに見ながらヘリポートに着陸した。初号機に何かを感じたのか、101は着陸するまで初号機を睨み続けていた。
「首相、私はこのまま人目につかないようにエヴァンゲリオンの監視に動きます。ロデムを変身させて警護につかせますので、命令や報告要求はロデムを通して行ってください。ロデム、GGGの人には首相付きSPの山野と応えておいてくれ。僕が戻るまで加治首相たちの身の安全を守るんだ」
 101がそう言うと傍らの黒豹の体が崩れ、次の瞬間それこそ加治が想像したどおりの007に変身したロデムが立っていた。
『わかりました、御主人様』
 101はロデムの返事を聞くと、加治が言葉を発する前に一同の目の前から消えた。
「彼は何処へいったのかな?」
「−−マスター、彼は人間の認識を超えたすばやさでマスターの視界から外れました。既に私のセンサーからも外れています」
 加治の誰宛とも言えない問いかけにセリオが答えた。
「は〜、彼の力はまるで魔法みたいね。私の研究にも協力してくれないかしら」
 魔法の分析と理論化をライフワークとする鷲羽ちゃんが、ちょっと危ない目つきで本音を漏らした。
「魔法・・・ですか?鷲羽さん。科学者とは思えない台詞ですね」
「鷲羽ちゃんと呼んでね、加治さん。科学者だからと言って魔法を切り捨てたりはしないわよ。高度に発達した科学技術は魔法と区別できない、って言葉があるでしょう?逆に言えば今は魔法に見えることでも科学の対象になりうるってことよ。それが本当に起きている現象であって他に合理的な説明が出来なければ、自然現象の一つと認識した上で他の物理理論と矛盾しないように理論づけるのも科学者の仕事のうちよ。大切なのは人知の届かない神秘的な力で現象の説明を止めてしまうんじゃなく、健全な猜疑心を持ち続けて持説も対象に含めて証明活動をし続けることね」
 鷲羽ちゃんの力説に押されながらも何が言いたいのか解ったような気がした加治であった。
「そうですか・・・そう言えば水原君が持ち込んだエルハザードの法術も説明を受けるまで魔法のように見えていましたね」
 鷲羽ちゃんの魔法発言に、ここにいない総合科学技術会議のオブザーバーを思い出していた。
「さて、出迎えも来たようですね。みんな、彼のことはGGGには言わないように」
 加治がそう言うと一行はヘリコプターから降りて、出迎えに来た大河長官と挨拶を交わした。

 Gアイランドで加治と渚カヲルの会話が打ち切られた時点に話は進む。
「エヴァンゲリオンとはそんなに危険な物なのか? それに時間がないとは一体」
「加治さん、ちょっと良い?」
「ああ、どうぞ鷲羽・ちゃん」
「横から話は聞いてたんだけど、文脈や資料からすると、・・・・どうやら彼の言うエヴァンゲリオンとあのエヴァンゲリオンは別のエヴァンゲリオンだって気がするんだけど」
「本当ですか?!」
「え、ええ。あくまでも印象程度の物なんだけどさぁ。資料を斜め読みしかしてないから確証はないんだけどねぇ」
「つまり彼の云う事が正しいのか、碇博士が正しいのかは」
「結論付けるに足る確証が欲しいわね」
 そこに101からの報告がロデムを介して届いた。丁寧にもロデムは101の姿になって、101とのテレパシーを翻訳していった。
『首相。自分のテレパシー能力で渚カヲルの思考を読み取っていましたが、時間が無いと言っていた理由が読み取れました。彼はイリスをコントロールするためだけに造りだされた命です。エヴァンゲリオンを倒すために誕生したイリス。そのイリスをコントロールするために造られましたが、その強力すぎる力が暴走しないようにイリスとのシンクロが始まってから48時間で消えてしまうように遺伝子に時限爆弾が仕込まれているんです』
「それはつまり」
『はい、彼は最初から死ぬ覚悟で、エヴァンゲリオンと戦うためにリリスと融合したんです』
「何と言うことだ。少年を、心を持つ人間を確実に殺さなければ使えない兵器と、それで無ければ戦えないエヴァンゲリオンとは、悪魔の産物か」
『確かに彼には一つの文明を、いえ老若男女問わず地球生命の全てを啜って永遠に生き続けようとするエヴァンゲリオンの記憶があります。ただし彼が体験した記憶と言うより、後から催眠教育のようなもので刷り込まれた記録の印象もありますが』
「山野君、そのカヲルの記憶にあるエヴァンゲリオンはこの世界に現れた物と同一のものなのかね?」
『申し訳ありませんが、それには確証が持てません。彼の記憶にあるエヴァンゲリオンも、あのATフィールドと呼ぶバリアーを使っていましたが、同時に背中から6対の羽が生えていました』
「それじゃ、まだ決定できないわね。まるっきり別物なのかこれから変化するものなのか」
「変化?鷲羽ちゃん、変化すると言う根拠は何かな?」
 加治首相と101の話し合いを聞きながら、鷲羽は初号機に攻撃を加えるリリスを見ていたのである。加治が鷲羽に振り返るとちょうどATフィールドがリリスの攻撃を防いだところであった。
『エヴァンゲリオン初号機! 再起動しました!!』
 卯都木隊員の声が加治たちが控えている部屋にも響いてきた。
「見ての通りよ、加治さん。初号機はあのままやられる気は無かったようね」
『首相、ゼルエルを倒した時と同じです。パイロット、碇 シンジ君の意識は感じられません。ただエヴァンゲリオンの意思が、それが在るならば、本能的に戦っているだけです』
 加治首相たちも見守っているうちに初号機が再び動き出し、リリスとの肉弾戦を始めた。
 血飛沫が舞う肉弾戦は加治達からも言葉を奪っていった。いくら時間が経過したのだろう、初号機のATフィールドでコーティングされた貫き手がリリスのコアを貫き、戦うためだけに作られた命の炎を吹き消した。
 初号機はそのままリリスの体内から渚カヲルを抉り出し、喰った。
 そして一声の遠吠えを最後に沈黙した。


 ここまでの状況を見ていた加治の顔は青ざめていた。エヴァンゲリオンが人間の操れるものではないように感じていたのである。そこに101が更に報告する。
『首相、不思議なことなんですが、初号機に捕食され死亡した筈の渚カヲルの意識がまだ初号機内に感じられます。このまま彼の意識を追い続ける許可をお願いします』
「山野君、地上はまだ危険かもしれない。それに必要なことなのかね?」
『はい、首相。僕の予知能力が彼の意識を追い続ける事がとても大事な事だと知らせています。それに初号機ですが、あれに意識があるとするなら今は深い眠りに入っているようです。刺激を与えなければ危険は無いと思います』
「加治さん、私からもお願いするわ。頼んだ応援に回す情報は多いほうが良いわ」
 既に総合科学技術会議のメンバーに連絡して調査班を編成し始めていた鷲羽ちゃんであった。


 さて、事態が沈静化したことを受けて大河長官と話し合った加治は、GGGでのサルベージ作業と今後の計画についての話し合いが次の日まで開かれないと言うことを聞いた。そこで加治は首相官邸と連絡を取り、鷲羽ちゃんとGGGには秘密裏に101をGアイランドに残して一旦帰還することにした。鷲羽ちゃんは次の日の政府調査団受け入れのため、101はエヴァと科学者たち特に鷲羽ちゃんが暴走しないように監視するためである。
 帰りは試験導入された政府専用MATジャイロである。その中で加治首相は、今日一日の出来事を振り返っていた。
 この日本に現れた数々の世界の中でも平均的な世界の出身、異常に突出した科学技術も軍事力も無い世界から来た加治首相にとり、己の知識をはるかに超える強大な力を管理することの難しさを新ためて噛み締めていたのである。
「マスター。とてもお疲れのようです。明日は予定通りお休みになられた方がよろしいのでは?」
 加治の体調をモニターして疲労物質の蓄積を感知したセリオが提案してきた。ゴモラ来襲で延期になった、時空融合以来初めて取る予定だった1週間の長期休暇を改めて奨めているのである。
「いや、まだ大丈夫だよ。今回の事件では、私以上に傷ついた者がいる。いまだに目処が建たない解決策を求める者がいる。これくらいでは、まだ休むわけにはいかないよ。鮎美・・・」
 疲れのためか、セリオの声を総理になれと励まして病死した恋人の声のように思いながら加治は何時の間にか眠っていた。


後書き
 構想を間違えた。最初は本編のパートにあわせて分かれていたけど、何か話がまとまらないので1つにまとめ直した。結果未完成のものを1回アイングラッドさんに送ってしまったことになった。アイングラッドさん、ごめんなさい。(__)
 Bパートは101を主役にするつもりだったけど、結局ラストは加治で終わってしまった。誰が主役なんだか、やっぱり小説を書くのは難しい。

 さて、101は有名なバビル2世(ジャイアントロボOVAのBFの元ネタ)の続編がかかれたときに、新ためて主人公につけられた名前です。
 101の由来や何が起きたかは、別途構想中の外伝シリーズで触れるつもりで、ここでは最小限しか触れていませんので、興味のある方は原作のほうをご覧下さい。(^_^;)\(~_~メ)
(コミック・小説版の「ジャイアントロボ 地球が静止する日」よりは入手しやすいでしょうから)
 ちなみに、浩一の妹は全くのオリジナルです。ロデムをバーバパパにしたいがために生み出しました。(笑)

 Cパートは既に発表していますので、次はDパートになります。一応、当初の予定通り「安全保障会議」を舞台にする予定ではいますが、どうなることか。

 しかし、筆も進まぬうちにこんなに構想だけで手を広げて良いんだろうか。(汗)



感想はeingradさんか、もしくは直接こちらへ。
スーパーSF大戦のページへ




<アイングラッドの感想>
 岡田”雪達磨”さん、いつもいつも大変にありがとうございます。
 おお! バビル2世が満を持しての登場ですね。
 中華共同体の方のBF団にビッグファイアーがいないので丁度バッチリです。
 続きをお待ちしていました。
 私の執筆も、構想と妄想だけは果てしなく・・・20話分位は有るのですが、いつまで経ってもなかなか形にならないものです。
 つい最近思いついたのがメールに触発された任侠無国籍活劇物で、<網走番外地「死んで貰いやす」>と<紅の渡り鳥「俺のコルトはルガーだぜ」>と<紅たん碧たん「おひけぇなすって」>と<ジオブリーダーズ「戦闘は火力」>が混然となった・・・て、出来るだけ早く本編の続きを書く事にします。
 いつも書いてますが、自分だけでは手の届かないもの、異なる発想でお話を書いてくれる方々に大変感謝しています。
 ありがとうございました。


日本連合 連合議会


 岡田さんのホームページにある掲示板「日本連合 連合議会」への直リンクです。
 感想、ネタ等を書きこんでください。
 提供/岡田”雪達磨”さん。ありがとうございます。







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