第15話 予告編




  民間人はすべて避難したはずの新ヤイヅCITY。

  荒涼とした人工の島の上に無事にその姿を留めている幸運なビルディング。

  その屋上にてひとりの女性が戦場と化した市街を見下ろしていた。

  彼女の名前は星野スミレ。

  現在、彼女はアイドル歌手として芸能界において活躍している。

  しかし彼女には、過去にひとつの秘密があったのだ。



  外輪山に隠れようとしている紅い夕陽は橙色の強い日差しを輝かせ、スミレの優しい顔を美しく染め上げていた。

  夕陽が紅くなる程に東の空からは蒼く沈んだ夕闇が迫って来ていた。

  先程から吹き始めた強い海風はスミレの長く伸ばされた髪を弄ぶように靡かせていた。

  彼女は無言で胸から下げたロケットを握り締めた。

  そのロケットの中には10代前半と思しき、平凡な、そして陽気に笑うひとりの少年の写真が飾られていた。

  そっとロケットの蓋を開けたスミレは静かに写真の少年を見つめていた。

  どの位そうしていたであろうか、そっと目をつむりもう一度開いたその瞳には強い意思が輝き、ひとつの決意をした事を物語っていた。

  彼女は長い間封じていたその封印を解いた。

  ロケットの裏側の金属板を外すと、中からクシャクシャに丸められた何かを取り出した。

  悲しそうな、しかし力強い声で彼女は言葉を口にした。





 「まさか又、これを使う日が来るなんて・・・」       ミツ夫さん、私を守って。






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