三人の絆


 花見に行ってから1カ月と3日後、食事こそ共同で取っていたが、3人の、特にアスカのレイに対する態度が極度に硬化していた。
 このままでは3人ともこの世界に来る前のように、只の冷たい関係に戻ってしまうのではないかと思えた。
 だが、過去の精神的外傷(トラウマ)が完全に消えたアスカは以前のアスカとは異なっていた。
 以前の彼女なら、仲間としてのレイよりも何か得体の知れない存在としてのレイを重視してしまい、徹底的にレイを自分の周りから排除したであろう。
 しかし、現在のアスカはそれより何よりも仲間としてのレイが大事だと思えてきていた。
 するとここ数日の自分の態度がレイにどれだけ負担を掛けたか、アスカ自身が驚いた事にそれを思い浮かべるだけでも後悔に涙が浮かんでしまうほどであった。
 3日目の夜、夕食の時。
 今日もいつもと同じく静かな食事が始まった。
 アスカは心にもどかしさを感じながらも積極的な態度に出られない自分に驚いていた。
 レイは変わらず無口に食料を口へ運ぶ。
 いつもなら食事前に大騒ぎする火蜥蜴たちもこの雰囲気に飲まれたのかここ数日、元気なく静かになってしまっていた。
 時折この冷たい雰囲気に耐えられなくなったシンジがアスカとレイに声を掛けるが、ことごとく無視された。
「ごちそうさま」
 いち早く食事を終えたレイは以前のようにシンジの部屋で人の雰囲気を楽しむことも無くなり、食事が終わると直ぐに何もない自分の部屋に戻ろうと席を立った。
「あっ」
 今日こそはと覚悟を決めていたアスカだったが、この雰囲気に飲まれてしまい口から出される筈の言葉は舌から放たれることがなかった。
 レイはそんなアスカの態度に気付かなかったのか、玄関へ向かう。
 もしもこの場に3人しかいなかったらこのまま3人はバラバラになってしまったかも知れない。
 しかし、彼は既に3人ではなかった。
 アスカが心に浮かべた悲しみは彼女の女王、ブロンディーを突き動かした。
 アスカと精神感応で結ばれた火蜥蜴達はアスカの本音の部分に大きく影響される。
 その時アスカに浮かんだ痛いまでの後悔の念はブロンディーの心に突き刺さった。
 その為アスカだったらプライドが邪魔して起こすことが出来ない行動も彼女だったから躊躇いもなく起こすことが出来たのだ。
 ブロンディーは今まで掴まっていたアスカの肩から翼を広げて飛び出すと玄関で靴を履いていたレイの左肩に止まった。
 レイは少し驚いたようだがそのまま右足をサンダルに滑り込ませた。
 その時ブロンディーが結局声を掛けられなかったアスカの態度に腹を立てたかのように、同じ様に右肩に止まっていたレイの女王火蜥蜴のゴールディに鋭く尖った声を掛けた。
 レイと同じく物静かなゴールディであったが、ブロンディーが声を掛けるとそれに答えるように緑色に輝いた目玉をグルグルと回した。
 ふたりは何か話をしていたが、ゴールディが納得したように声を上げるとブロンディーはレイに赤く光る目を向けた。
 吸い込まれるような目を見てレイはそのまま玄関で固まってしまった。
 レイの見つめるブロンディーの赤い目がだんだんと大きくなって、・・・・・・・・・暗闇の中にひとりの女の子が泣きながらこちらを見ているのが見えた。
「アスカ!」
 それがアスカの小さい頃の姿だと言うことに気付き思わず振り返るレイ。
 アスカは黙ってレイを見ていたがレイが振り向くと衝動的に声が出てしまった。
「あ! あの・・・レイ。話があるの。少し私の部屋に来てくれないかな」
「いいわ・・・」
 レイがあっさり肯くとアスカは顔を綻ばせてレイが立つ玄関に駆けた。
 アスカはブロンディーがレイの肩に乗ったままなのに気付き、レイの肩からそっと抱き上げた。
「ブロンディー、少しふたりだけで話がしたいの。ちょっとここで待っててくれる?」
 アスカは緊張が解けたのか朗らかな表情で彼女に言った。
 ブロンディーもそれが嬉しかったらしくぱたぱたと翼を羽ばたかせてシンジの方へと飛んでいった。
「ゴールディ」
 レイも言葉少なに自分の黄金へと声を掛けた。
 ゴールディも緑色に光る目を向けると了解しましたと鳴いて、同じくシンジの方へと飛んだ。
 ブロンディーとゴールディはシンジの頭の上と左肩に止まった。
 シンジは心配そうにアスカを見た。
「大丈夫よシンジ、この子達をお願い」
「あ、うん。分かったよアスカ、レイ」
 シンジが答えるとアスカとレイはアスカの部屋に行った。
「大丈夫かなアスカ。ケンカしなきゃ良いんだけど・・・。さて、後片付けするかな。アレ?」
 シンジは食卓に並んだ食器を台所へと持って行こうとして立ち上がったのだが、彼にベッタリとまとわりつくアスカとレイの火蜥蜴を見た時、彼らの皮膚がカサカサに乾いてひび割れしているのに気付いた。
「アスカもレイも、自分の事なのに気付かないのかな? まぁいいや、みんなちょっと退いてくれるかな」
 シンジは火蜥蜴たちに言葉を掛けて、みんなが座っていた戸棚に置いてあった薬箱を取った。
「すぐ綺麗にして上げるからね」
 そう言いながらシンジは薬箱からベビーオイルを取り出した。


 その頃ふたりはアスカの部屋で向かい合って座っていた。
 アスカはベッド、レイはアスカの机の椅子である。
 最初の内、ふたりとも無言のままであった。
 アスカは内心の葛藤に混乱していたのだ。
 使徒と同じ能力を持つレイ。
 自分と同じエヴァ・チルドレンとしての仲間の、そして最近は大事な友達としてのレイ。
 どのレイが一番アスカに取って大事なのか、それを決め兼ねていたのだ。
 だが、本当は分かっていたのかも知れない、この愚直なまでの、と言うより感情の表し方を学習中のレイが自分にとって2番目に大事なヒトであることが。
「レイ」
「何・・・アスカ」
「アタシはアナタのことが・・・・・・ア」
 アスカは何か喋ろうとしたまま顔を赤くして俯いてしまった。
「どうしたの?」
 心配になったレイがアスカに近寄ると、アスカは何かに耐えるように口を結すび、真っ赤な顔のまま妙に潤んだ瞳をレイに向けた。
 そして妙に歪んだ笑いを浮かべたままベッドに寝転がった。
「アスカ、どうしたの」
 レイが心配してアスカの頬に手を触れた瞬間、今まで耐えてきた緊張の糸が切れた。
「レレイ、イヒヒヒ、も、もうダメェ! あ、あはははは、止めヤメやめてぇノヒャハハハハ、イヤ止してそんな処はダメなひアハハハはははは、イヒ、イヒ、イヒ」
 2分間そのまま悶絶していたアスカだったが、ようやく立ち直ったかと思うと荒い息を整え、姿勢を正し再度レイに向き直った。
「ご、ごめんなさい。ちょっと急にくすぐったくなっちゃって、どうしたの?」
 話を始めたアスカだったが、目の前のレイの様子がおかしいのに気付いた。
 顔を赤らめ、息を噤んで何かに耐えているような感じだった。
 アスカが尋ねるとレイは体が刺激されていると答えた。
「ご、ご免な・・・さい、ひ・・・、こんな時に、どんな顔をした・・・ら、いひのか、分からないの・・・ん、ふ」
「多分、笑えば良いと思うわ」
「分かっ・・・・・・えひ!グヒヒヒ!プ!アハハハハハハハハ、イヒ!イヒ!ヤメ、ヤメ!止めてー!フハ、アハ、」
 散々のたうち回ったレイは全身から汗をかき、息も荒く脱力したように座り込んでいた。
 アスカは常に冷静な姿のレイしか目にしたことが無かったので、今までのレイの狂態に唖然とした感じで魅入ってしまった。
 ふたりはしばらくの間そうしていたが、急に何か思いついたアスカはレイと連れだってシンジの部屋へ殴り込んだ。
 突然ドアを蹴破って入ってきたアスカとレイに呆然とするシンジ。
 その手にはベビーオイルの瓶が握られており、彼は荒れた肌をしていたドラゴンたちの肌にベビーオイルを塗っていた。
 火蜥蜴とマスターの間は精神的に緊密に繋がっている、その為火蜥蜴が撫で回された感触がふたりの女の子を襲ったわけだ。
 何しろ本来なら箸が転んでも笑ってしまう年頃だ、その様な刺激に大変弱かった。
 ふたりは先ほど襲ったくすぐったさの原因を知り、シンジに喰って掛かった。
「シンジのエッチ! 変態!」
「シンジくんのスケベ」
 との声と共に2発のビンタが決まった。
 シンジはいきなり張られた2つのビンタに目を回しながらアスカとレイに喰って掛かった。何しろ親切でやっていた行為を非難されたのだ。
「アスカ、レイ、いきなり何なんだよ。僕はふたりの火蜥蜴の肌がカサカサになっていたからオイルを塗って上げただけなのに」
「ふーん、そんな事言うんだ。いいわ、じゃあお礼にシンジの火蜥蜴たちは私たちがお肌の手入れして上げるわ。ね、レイ」
「ええ、分かったわ」
 何がなんだか分からないと言うシンジにアスカとレイの2人は肯き合い、シンジのドラゴンの青銅「エース」と蒼「ブルー」を抱え込んだ。
 アスカはシンジの持っていたベビーオイルをふんだくり、自分の掌に開けるとレイに手渡した。
 そしてふたりはそのベビーオイルを、抱えたシンジの火蜥蜴の肌に塗り始めた。
「第一ふたりとも自分の火蜥蜴が可哀想だと思わないの? こんなに肌がイヒ!」
 シンジがふたりに自分の火蜥蜴に対する責任を説こうとした瞬間、彼の体を電流のような違和感が走った。
 シンジはビクッと体を震わせてしまい、言葉が出なくなった。
 何が起こったのか、辺りを見てみたが何もなかった。
 その時アスカはシンジが体を竦めて動揺しているのを見て、ニヤッと笑った。
 シンジはふたりの顔に浮かんだ笑みを見て何かイヤ〜な予感がした。
「ど、どうしたの? ふたりとも」
 シンジがどもりながら尋ねるが、ふたりはそれに答える代わりに「エース」と「ブルー」の体を軽〜く撫で上げた。
「アハン」
 シンジは自分が思わず上げてしまった妙に色っぽい声に自己嫌悪しながら、何が起こったのか辺りを見回す。
「今のは一体なに?」
「アンタまだ分かんないワケ? なら、レイ?」
「ええ」
「だから一体なにがウ、フン」
「あらシンジ、アンタ結構・・・」
 アスカはシンジが顔を赤らめているのを見て嗜虐心をそそられたのか、非常に丹念にシンジの火蜥蜴の翼の先端から微に入り細に入りベビーオイルを塗り込みはじめた。
「ウ、フ、ヒッ。アハハハハハ!」
 シンジは、アスカがエースを撫でるたびに全身を駆けめぐるくすぐったさに悶絶して身を捩った。
 相手が直接体を撫でていたなら抵抗もできるが、テレパシーで擽られては堪ったモノではない。顔を引きつらせながら床を転げ回った。
「イヒ、ヒッヒッヒ。ヤメ、止めてってば」
「あら、ようやく分かったの?」
「良かったわね」
「ゴ、ゴメン。それじゃさっき僕がブロンディーやゴールディの肌の手入れしていた時も?」
「そうよ。全く酷い目にあったんだから」
「ゴメン・・・。ボク、エースやブルー、タマの肌の手入れしてやった時に何ともなかったからてっきり・・・」
「分かればいいのよ、けどね、さっき私たちはもっっと長い間擽られ続けたのよね」
「ええ、ひとり5分間位だったわ」
「それにシンジ約束したわよね、もうゴメンって言わないって。約束破ったらお仕置きが必要だと思わない?」
「信賞必罰は世の理だもの。仕方がないわアスカ」
「つまりそう言うことなの。分かるわよねシンジ」
 アスカはニヤリと薄笑いを浮かべるとレイに肯いて見せた。
「うわ、ゴメ」
 シンジは直ぐにふたりを止めようとしたが、いきなり2体分のくすぐったさに共感してしまったシンジは全身の毛穴が開くような壮絶な感触に言葉を無くした。
「アヒヒヒヒヒッ、アス、イハ、クハヒヒヒハヘ」
 彼は顔を紅潮させて床をドンドン叩きながら転がり回った。
 一方、体を撫でられているエースとブルーは気持ち良さそうに、ウットリとした表情でふたりの成すがままになっていた。
 どうやらヒトと火蜥蜴では感覚のレベルに差異があるらしい。
「止ハめてよ、アハハハアスカ、イヒヒレイヒーッ」
「レイ、何か聞こえた?」
 アスカは力強く円を描くようにベビーオイルをエースに塗っていった。
「いえ、何も日本語は聞こえなかったわ」
 レイは火蜥蜴の滑らかな肌に染み込むように繊細な手先の細かな仕草でベビーオイルを塗っていた。
 彼女たちのくすぐり攻撃は通常の2倍以上の相乗効果を伴った感覚となってシンジに襲いかかった。
 シンジは息も絶え絶えに笑い続け既に何が何だか前後不覚、声も出ないほど悶絶した後気絶してしまった。ご愁傷様。
 火蜥蜴全員の肌の手入れが終わると、彼らは満足そうに瞼を閉じて各々が好きな場所に丸まると深い眠りに入った。
 グッタリとしたシンジを見てアスカは勝ち誇った笑みを浮かべて
「これにこりたらもう2度と許可無く私を弄ぼうなんて考えない事ね」
「許可があればいいの?」
「え? イヤねレイ、言葉のあやよ。あはは、イヤーね」 アセッ
「そう、良かったわね」
「あ〜あ、疲れたら眠くなって来ちゃった。レイ、お休みぃ」
「アスカ・・・話は良いの?」
 レイは暗く沈んだ表情でアスカに訊いた。だが、一番レイの事に拘っていたはずのアスカであったが、意外と屈託のない笑顔を浮かべて言った。
「うん・・・。な〜んかサ。くすぐられて笑い転げているアンタを見ていたらサ、どうでも良いかなってネ。だからもう良いの、例えアナタが使徒の仲間でも、それ以前に私たちの仲間でしょアナタは、綾波レイ、ファーストチルドレン」
「ありが・・・」 グスっ
「レイ、アンタ泣いてるの」
 アスカはレイの双眸から涙が流れ続けているのを見て心から驚いた。
 だが、それは当の本人、レイも同様であったらしく自分の目から流れる涙をすくっては不思議そうにそれを眺めた。
「これは・・・、涙、そうワタシ泣いているのね。嬉しい時も涙が出るのね。碇くんは、シンジくんは「笑えば良いよ」って言っていたのに・・・」
「そうよ、人間、心の底から嬉しい時も涙が出るの。そうよ、人間だから、誰がなんと言おうとレイ、アンタはヒトよ」
 アスカはそう言い切るとレイの頭を抱きかかえた。
 しばらくの間、そうやってジッとしていたが、不意にレイはアスカに言った。
「可笑しいわ、嬉しいはずなのに寂しい」
「寂しいの? どうして」
「だって。夜ひとりで居るのが、寂しい・・・」
 レイはアスカの胸に顔を押しつけた。
 一瞬アスカはレイにそっちの気があるのかと危機感をつのらせたが、よくよく考えると他人との接触が皆無であったレイにその様な感情があるわけがない。(しかし教育者があの赤木リツコであるから・・・)
 レイの様子を見てみると、子猫が母猫に甘えるようなそんな仕草であった。(余計危ない表現かも知れない)
−−−ああ、そうか。このコはアタシよりも・・・。寂しいのよね。
 撫で撫で。
 アスカはレイの頭を優しく撫でた。
 その顔には今まで誰も見たことのない様な慈母の微笑み、子を親が慈しむような微笑みが浮かんでいた。
「・・・今日はママが一緒に寝て上げる。だから涙を拭きなさい」
「はい・・・まま」
 雰囲気だったとは言え、アスカは自分が思わず言ってしまった台詞に赤面し、尚かつレイが返事をした事に頭がクラクラするほど動転した。
「アスカ・・・」
 思わぬ方から声が掛けられ、思わずビクリと身を竦めるアスカ。
 くるぅりと声の方を向くとシンジが微笑んでアスカとレイを見ていた。
「あぅいぅえぅおぅ。シ・シンジ、見てたの聞いてたのぉ!?」
 シンジが優しい笑顔で肯くと混乱の極みに達したアスカはシンジの前にダッシュで駆け寄り引きつった微笑みを浮かべた。
「シ・シンジ」
「なに? アスカまま?」
「き・・・」
「き?」
「記憶を失えー!!」
 ドカズカバキ!
 とてつもなく重いパンチとキックの連打がシンジを襲い、そのまま気絶した。
「はぁはぁ、ハッ、アタシは一体何を」
 どくどくと何かを流しながら丁度ソファーの上に転がったシンジを見てアスカは気の毒に思ったが、「なに? アスカまま?」シンジィ、アタシをからかおうなんて十億年早いってぇのよ! フン、ざまおみ。
 放って置くことにしたようだ。
「アスカまま」
「ひぇぇ、お願いレイ。アスカって呼んでぇ」
 アスカは涙ながらに懇願した。
「ええ、アスカ。」
「じ、じゃあ早くお風呂に入って来なさいよ。」
「おフロ」
 指をくわえてジッとアスカを見るレイ。
 その無言の圧力にたじろぐアスカ。
「ダメダメ。早くしなさいってば、子供じゃないんだからぁ」
 なんとかレイをあしらい深〜い溜め息をつくアスカであった。

 翌朝。
 何故か血だらけのソファーで眠っていたシンジは全身を覆う鈍い痛みに耐えながら自分の部屋に着替えに戻った。
 すると、彼のベッドの上には射し込む朝日に照らされてふたりの天使のような寝顔があった。






<後書き>
 ああ、なんて事だ、おかしいなぁ、もっと簡単に終わるはずだったのに。
 ショートなお笑い噺の筈が。
 最初の予定ではふたりが仲直りするのは次の話の筈だったのに、3人が勝手に動き出すもんだから予定がおかしくなっちゃったよ。もう。
 しかもアスカさんなんか突然恥ずかしい事言い出すから、キーボードに触れなくなって困ったし。
「ちょっとアンタ」
 あ、アスカまま。
 ドカズカバキドゴグキベキボキ・・・。
「なんて言いぐさよ、書いたのはアナタでしょうが、書き手が責任持たなくて誰の、・・・モシモーシ。ねぇちょっと聞いてるの?」
 沈黙。
「全く、出番が出来たと思ったら何よこれぇ。なんで私がレイの」
 沈黙。
「やる気ないのね」
 夜勤明けで眠いっす。
「あ、やっぱり起きてやがったかコンチクショウ」
 うおぅ、しまった。
「あの、ちょっと良いですか」
 あ、シンジくんではないかい。はいはい何でしょう。
「ボクの左手の骨折、いつの間に直ったんですか?」
 ぐさ、う、痛いところを。
 そうそう、GGGの優れた外科手術によって花見の前にはギプスが取れていたのさ。
 良かった良かった、ははは。乾いた笑い。
「今考えたんですね」
「今回の後書きも勘案すると」
「行き当たりばったり」
「優柔不断」
「厚顔無恥」
「支離滅裂」
「恥知らず」
 ぐはぁ! 吐血。
 ふふふ、言いたいことはそれだけか。
「んなワケ無いじゃない、他にも色々あるに決まってんじゃん」
 以下100行削除。
「と言うワケよ」
「アスカアスカァ、干涸らびてるよコレ」
「ふん、情けない奴ぅ。行きましょレイ、シンジ」
 アスカ颯爽と退場。
 幕は下りた。


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日本連合 連合議会


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