インターミッション

ガオガイガーinベターマン




 GGG基地にて。
 GGGは宇宙開発公団の地下に位置し様々な超科学を用いて鋼の体と本物の勇気を持つ勇者達を支えていた。
 その機械加工技術のほとんどがコンピューター制御による加工であったのは云うまでもないことだが、知っているであろうか?
 その超科学技術を誇るコンピューター制御による機械加工に於いても最初に素材の基準となる水平を割り出す事が如何に困難であるか。
 鋳造した超合金の塊は熱膨張や結晶構造の生成により多少いびつに出来ている。
 コンピューター制御で最初の一削りから加工させると基準面の水平が僅かコンマミクロン単位で歪んでしまうのである。
 これは素材の残留応力等が影響しており、完璧に水平にバイト(切削工具)を動かして正常に加工したはずでも後から歪みが出てしまうのだ。
 その結果、その製品は実用には使えない代物となってしまう。
 これはNC技術がいつまで経っても克服できない問題であった。
 そしてそれはまたGGGに於いても例外ではなかった。
 実は、GGGの勇者達の部品を作成している超精密加工工場の一角には、周りを厳重に囲まれた秘密の部屋があるのだが、そこは外見から考えられる様な設備が置かれているわけではなかった。
 そこに務めているのは前世紀から既に老人であったような年齢を重ねた超熟練工の川上幸吉郎さん75歳と四〇年は使い込まれたような水平加工盤がたったひとつ置かれているだけであった。
 しかし、それがこのGGGの機械加工を支えているのも事実だった。
 だが、現在、その加工作業の構造が崩れてしまっていた。
 老齢の川上さんが風邪を引いて寝込んでしまったのだ。現在GGGの医療の全力を傾けて治療中である。
 それに伴い現在早急に後継者候補を検討中ではある。
 だが、超合金の肌を読みとれる様な見極めの勘どころを習得し、それに従い金属を加工できる技術を持つ者でなければならず、又、秘密兵器の機密保持性その他から次の人材の確保は難航していた。
 その結果、現在GGGの機動部隊に所属する勇者達、異星の産物であるギャレオン=ガイガーを除いた3機のガオーマシン、氷竜、炎竜、ボルフォッグ、ガンドーベル、ガングルーの出動が出来なくなっていた。 (新ヤイヅCITYの戦闘でGGG機動部隊が出動しなかったのはこの理由による)
 それもたったひとつの部品が加工できなかったためだったのだ。
 その部品はGGGのマシーンに採用されている緑の星の技術GSライドを保持する目的のごく簡単な形状自体の治具なのだが、材料の超合金は加工が難しく又秘密保持のため信用の薄い工場に(時空統合以降その数は飛躍的に増えていたが)外注に出すわけにも行かず、さしもの獅子王博士もその優秀な(禿)頭を抱えていた。
「さ〜て、どうした物かな。懇意にしていた下町の工場はこの世界に来なかったし、かと言って太正時代のあの技術レベルではあれの加工は無理じゃし」
 GGGの高レベルな技術を支えてきた獅子王博士も今度の出来事には悩まずには居られなかった。
 とそこへ彼の息子、(と云っても高年齢になってから出来た子なので孫のように年齢は離れていたが)獅子王ガイが顔を出した。
 彼も今回の出来事は人ごとではなかったのだから当然と言えば当然だが。
 なにしろ彼は事故によって失われた生身の体の代わりにGストーンを用いたサイボーグになっていたのだから。
 彼のGSライドにも例の部品は使われているのだ。
「どうしたんだよ父さん。そんなに悩んだりして」  禿げるぜ。
「そうは言ってもな。はぁ〜参った参った」  もう充分禿げとるわい。
「オレは機械工学にそれほど詳しい訳じゃないから相談には乗れないけど、ひとり適任がいるじゃないか!」
「誰じゃ? それは。言っとくけど機密レベルは特Aじゃぞ」
 ガイは自分の顎を掴んで考える振りをしたが、大丈夫だろうと言う表情で父親に向き直った。
「ほら、雷牙伯父さんの息子で工場を経営してる阿嘉松さんなら大丈夫じゃないかな?」
「むぅ、なるほど。あいつなら大丈夫かも知れんな、兄貴の子供達のなかじゃ珍しく兄貴を恨んでないようじゃしのぅ」
「なんだったらオレが使いに行って来ようか。」
「そうじゃな、・・・・・・むぅ、イヤ、やはりワシが行かんとな。一緒に行くか」
「うん、父さん。紗孔羅ちゃんにも久しぶりに会いに行きたいしね」
「ああ、そうだな」
 そう呟くと獅子王博士は少し遠い目をして幼い頃から体が弱く入退院を繰り返していた女の子のことを思いだしていた。
 目の前にいる自分の息子は健康にすくすくと育ってきたのでまったく心配なかったが、事故で健康な体が損なわれてからと言う物、心配のし通しだった。
 生まれつき体の弱い娘を持った父親の気持ちは如何なるものであろうか。
「ああ、そうだな。ガイ」
 博士は自分の息子に頷き返した。


 結局、(有)アカマツ工業へは獅子王麗雄博士と獅子王凱、そしてその恋人(で有ることは明白な)でGGG機動部隊オペレーターの卯都木 命の3人で行くことになった。
 一行はリムジンタイプの自動車に乗り込むと対岸の港湾区にある(有)アカマツ工業の建家へ向かった。
 国外や国内からの様々な貨物の積み卸しが日常的に行われている、独特の雑然とした雰囲気が漂っている区画の一角に(有)アカマツ工業は有った。
 外観は普通の倉庫兼用の事務所と云った感じの安普請な建物であったが、その倉庫入り口からはひっきりなしにトラックが出入りし、中では活発に生産活動が行われている事が伺わせられていた。
 彼らの乗ったリムジンは、その車輌の邪魔にならない場所に止まるとドアーを開いた。
 栄養が豊富な潮に特有な香りと夜釣りで捨てられた雑魚の腐臭がきつく香る中、獅子王博士一行はアカマツ工業の事務所に出向いた。
 事務所入り口には受付専門の美人な受付嬢が、いなかった。
 中小企業としてはそんな企業イメージを取り繕う為だけにある様な無駄な人件費を払っている余裕はない。
 その代わりに、無個性な机の上に置いてある内線電話の横に「ご用の方は内線132までお掛け下さい」と云う文章が書かれた紙が置いてあるだけだった。
 獅子王博士がその受話器に手を伸ばすと、後にいたミコトがそれを奪い取るように持ち上げた。
「おいおいミコトくん。そんなに気をつかわんでもいいのに」
「いいえ、これくらいはさせて貰います獅子王博士」
 ミコトはどことなく不機嫌そうな顔を隠そうとしない獅子王博士に向かいニッコリとした笑みを返した。
「おいおい、ガイよ。なかなか気の強い女の子じゃのぅ。大丈夫か? うりうり」
「大丈夫だって、まったく」
「うんうん、お前の母さんの絆も陽気な女性じゃったよ。いつも前向きでな、いつも元気付けられたものじゃ」
「父さん・・・」
 ふたりが親子の会話を交わしている間にミコトは内線で獅子王博士の訪問を連絡し終わっていた。
「博士、一階の社長室でお待ちしてますと言う事です」
「おお、そうかそうか。じゃあ早速行くとしよう」
 博士は勝って知ったると言った感じで通路を歩いていった。
「ねぇ凱、博士ってここの事結構知ってるの?」
「ああ、まぁな。個人的に少し出資したらしいし。ここの社長の阿嘉松さんて言うのはオレの従兄弟に当たる人でサ、まぁ歳はオレより二五歳は上なんだけどな。で、雷牙伯父さんの息子なんだけど、結構腕の良い技術者なんだ。それで独立するときに父さんが少し手伝いをしたって聞いてる」
「ふぅん、でもそう言う時って父親の方が親身になるんじゃないのかな」
「うん、別に雷牙伯父さんが何もしなかったって訳じゃないんだ、ただ雷牙伯父さんはNASAで働いてるから父さんがその代理って感じかな。色々とコネも持ってたしね」
「へぇ、それでここってそんなに凄い技術持ってるの? なんか普通の町工場って感じだけど」
「ああ、みかけで判断するとな。ここの主力はOEM製品だから表には名前が出てこないけど知る人ぞ知る有名な優秀な会社だぜ」
「どんな物作ってるの?」
「そうだなー、オレはタバコを吸わないから良く知らないんだがヘビー28号ニコチャンっていうニコチン補給ロッドとかホッピングブーツMk−Uとか、化学から機械工学まで幅広く手がけているらしい」
「ふぅん、本当にただの町工場とは思えないわね、それって」
「だろ? 技術者としては天才だよ、アカマツさんは。ここだったら極限環境作業ロボットだって開発できるぜ」
「うーん、まるで犯罪組織のアジトみたいね」
「ハハハ、違いない」
 等と軽口を叩いている内に3人は社長室の前に立っていた。
 中に入ると社長室とはいえ、特に凝った造りではなくどちらかというと技術者の実験室と云うかジャンク屋のパーツ置き場と言った感じを受けた。
 一応、外部のお客さんを迎えるための応接室は有るのだが、獅子王一家は自分の身内の人間である。
 気取る必要も気兼ねもない、いつもの部屋に案内する方が良いと判断していた。
 その雑然とした部屋の中、これまた雑然とした机にゴツイ体格をしたヒゲ親父が座っていた。
「ようこそ有限会社アカマツ工業へ。ハハハな〜んてな! お久しぶり」
「時空統合以来ご無沙汰だったな阿嘉松くん。経営は上手くいってるかね」
「うーん、いつもの取引先が軒並みあっちに置き去りにされちまいましてね、今は新しい取引先を探しておる所ですわ」
「なるほどのう、まぁこちらにとっては好都合じゃが」
「なんだよ叔父さん」
「実はひとつ部品を作って貰いたくてな」
「どれどれ、設計図は?」
「これじゃ」
 獅子王博士はバインダーから3面図を取り出すと、散らかった机の上に広げた。
「これは、形状自体はそんなに難しくなさそうだが。材料は、Ti−Al−Fe複合合金で、曲げ応力、展延性、切削強度が、ゲゲッ! これ本当に地球上の金属なのか?」
「ああ、凄いじゃろ。現在我々が作りうる最高の金属じゃよ。もっともヒントは宇宙金属から貰ったんじゃがな。それで仕上げに超電磁コーティングしなければならないんだが、それはこちらで行うことも出来るから形状の加工だけで充分じゃ」
「ふぅ〜む。素材は鋳造で?」
「ああ、恥ずかしながら技術者が風邪引いてしまってな」
「それで自慢のC.A.N.加工が出来ない、と。」
「まぁ〜あ、そう言うことだな」
 すかさず阿嘉松が突っ込むと獅子王博士は肩を竦めた。
「いいでしょう。社員に給料も払わにゃならんし、仕事のえり好みはしてらんないからな。単価さえ色付けて貰えればすぐにでも取りかかりますよ」
「それは良かった。それじゃ契約書を。卯都木くん、頼むよ」
「はい博士。初めまして私GGG機動部隊オペレーターの卯都木 命です、よろしくお願いします」
「おー、美人だな。オレはてっきりガイの恋人だと思ってたんだが」
「お、鋭いのぉ。実はそうなんじゃよ」
「や、やだぁ博士ったら」
 ミコトは顔を赤らめるとそっぽを向いた。
 博士と阿嘉松は大口を開けて笑い声を上げた。
 凱は? 苦笑しながらそれを見ていた。
 さて、無事に契約を済ませると社長自ら淹れてきたお茶を飲みながらここ最近の近況を話し合い始めた。
 まずは景気具合の話など当たり障りのない話をしていたが、阿嘉松の家族の話になると途端に彼は口が重くなってしまった。
「どうした? 何かあったのか」
「ん・・・、実はアイツ、この世界には来てないんだ」
「それは・・・生き別れか、つらいのぅ」
「まぁ、実は・・・ええい、畜生。置き手紙があの前の日に置いてあったんだ。「疲れた」ってな。俺も好き勝手にやってたからなぁ」
「しかし、それじゃサクラちゃんは・・・まさか」
「いや、アイツはオレに愛想を尽かして出ていったんだ。決してサクラの所為じゃない」
「しかしそれだったらさくらちゃんも一緒に連れてくんじゃ」
「そんな事アイツの前で言わないでくれ。心配掛けたくないんだ」
「済まん」
「構わないさ。あ、そうそうガイ、サクラに会っていってやってくれないか。ここん所落ち込んでいてなぁ。頼むよ」
「ええ、勿論。と言うよりサクラちゃんに会いに来たような物ですからオレは」
「そうかいそうかい。うんうん、可愛いぞー、オレの娘ながらなー。手ぇ出すなよ。ってもう相手はいたんだったなハハ」
「アカマツさん、それでサクラちゃんは? 自宅じゃないですよね」
「ああ、生まれつき体が弱いからなぁ。目を離せなくてな、ここの仮眠室に連れてきている。実は、モーディワープって知っているだろ」
「ええ、あの地球環境の改善と人類の保護を目的とした世界的保健機構ですよね。それが何か」
「実はあそこからニューロノイドって言う極限作業用ロボットの開発オファーが来てたんだが、その条件として特殊治療用ベットのマニージマシンを借りたんだが、モーディワープはこの世界には来なかった」
「・・・・・・そう言えばそうですね」
「つまり、向こうの都合で契約をうち切った訳だから、マニージマシンはこっちの物って訳だラッキーだぜ」
「それじゃあ、今までよりもいろんな所に出歩けるんですね」
「ああ、今まで自宅と病院しか行ったことがないからなぁ。流石に学校に通うことは出来ないがな。・・・約束したんだよ、これからは何処に行くときも一緒に連れていってやるってな」
「良い父親振りじゃな」
「え、いやーまぁ、娘のことを可愛がらない父親なんぞいない。そうだろう? ミコトちゃん」
「え。ええ、父も、そうでしたね」
「あ・・・」
 阿嘉松も何か拙いことを言ったらしいと気付き固まってしまった。
「あ、別に気にしないで下さい。さ、ガイ、早くサクラちゃんに会いに行きましょう」
「おう、それじゃアカマツさん」
「お、おう元気付けてやってくれな」
 阿嘉松がぎこちなく手を振るとふたりは社長室から3つ隣の仮眠室に行った。
「ふう、まずったな」
「ああ、彼女の両親は東京に地球外知性体EI−01が来たとき犠牲になってしまってな。その後GGGに入るまでは天涯孤独の道を歩んでおったからの」
「それは済まないことを言っちまったな。あんなに明るいからてっきり両親は健在なんだと思ってたよ」
「そこが彼女の強いところだな。まったく感心するよ」
「ガイには幸せになって貰いたいからなぁ」
 獅子王博士は頷くばかりだった。


「えっと、サクラちゃんのいる仮眠室ってここか?」
「多分、仮眠室って言ってたし。失礼しまーす」
 ミコトが扉をスライドさせると薄暗い室内に沢山のチューブが絡みついた機械の椅子が目に入った。
 彼らが室内にはいると、その機械仕掛けの椅子の全体が見渡せた。
 チカチカと機械のLEDが点滅し、それが動作していることが分かった。
 そのチューブの山の中に、ひとりの、線の細い、小柄な少女が隠れるように座っていた。
 だが実際は14歳という年齢である。
 病弱な彼女は見かけよりも遙かに幼い印象を与えていた。
 セミロングの髪の頭に覆い被さるように巨大なアイマスクが顔を覆い、四肢にはチューブの群が絡みつき、腰のバンドでその体を椅子に縛り付けられていた。
 その口から漏れる吐息は弱々しく、しかも不規則に続けられている。
 見るからに悲惨な格好であるのだが、しかし。
「酷い。こんな子供にこんな事をするなんて誰よ一体」
 あまりの悲惨さを見かねたミコトは駆け寄ってその少女をその機械から解放しようとした。
 ミコトの手が少女の右腕のチューブに掛かろうとした所、後からガイがそれを止めた。
「止すんだミコト」
「何故、ガイ。早く助けて」
「それは逆だよ。これがサクラちゃんの命を支えているんだ」
「そんな・・・」
「彼女は生まれつきの特異体質ADHDでね、極端に病弱なんだ。こうしてここにいるのだって生まれて初めてかも知れない。彼女は病院と自室の天井しか知らないんだ」
「うそ。」
 ミコトは絶句するとその顔を両手で覆ってしまった。
「そうだな。ある意味ウチの家系は呪われているような不運に付きまとわれているのかも知れないな。オレの従姉妹も犯罪組織バイオネットの魔手によって半死半生の目に会った。オレと同じくサイボーグ手術を受けたって聞いたことがある」
「そんな、だって」
「だがオレは諦めちゃいないさ。なんたってオレは勇者なんだからな!」
「ガイ・・・」
 ミコトがその目を涙で濡らしていると、凱の声に目を覚まされたのか紗孔羅がアイマスクを掛けたまま重たそうに顔を上げた。


「・・・だれ・・・だれなの?」


 彼女はか細い声を上げると周囲を見ようとゆっくりと顔を動かした。
「お久しぶり、サクラちゃん。凱兄ちゃんだよ」
 凱はそう言うと紗孔羅の手を取って優しく包み込んだ。


「・・・ガイ兄ちゃん・・・なの・・・・・・?」


「ああ。久しぶりにサクラちゃんに会いたくてね。」


「・・・ありがとう・・・・・・もうひとりのひとは?・・・だぁれ?」


「オレの、その何だ」


「ウフフ・・・こいびとさんなのね、ガイにいちゃんの」

「チェッ、サクラちゃんにはお見通しか」


「ウン・・・おかげでおかあさんには・・・きらわれちゃったけど。・・・おとうさんがずっとそばにいてくれるようにしてくれたから・・・わたしゼンゼンさびしくなんかないよ・・・ホントだよ」

「ああ、そうだな。サクラちゃんは強い子だもんな。その内元気になるさ」


「ありがとうガイ兄ちゃん・・・わたしげんきになって・・・みちをおさんぽしたり、ひなたぼっこしたりするの、きっと、たのしいとおもうの、きっと」

「もちろん、その時は一緒に散歩に行こう。約束だ」

「だめ、だって・・・おとうさんがさいしょだもん。・・・ガイにいちゃんはそのあとよ」

「あ、ゴメンゴメン。そうだなサクラちゃんはお父さん子だもんな」(ミコト、泣くなよ。サクラちゃんが悲しくなるだろ)
(うん、ごめん。ゴメンねガイ)「スン、こんにちはサクラちゃん」
 紗孔羅と凱の会話を聞いていた命は、こみ上げてくる涙を止められずにいた。
 だが、何より紗孔羅が悲しむとあっては自分ばかりが泣いている訳にも行かない。
 何しろここにいる3人の内で一番の健康に恵まれているのは彼女なのだから。

「こんにちは・・・ミコトおねいちゃん・・・・・・・・・ガイお兄ちゃん・・・メガネをはずしてちょうだい・・・お顔がみたいの」

「おっと、ゴメンな気が付かなくて」
 凱は慌てて、しかし慎重に紗孔羅の顔に掛かっているアイマスクを外した。
 紗孔羅は薄暗い室内にも関わらず眩しそうに目を瞑ると、目を慣らすように徐々に薄目を開けていった。
 大きくつぶらな目を開き切ると紗孔羅は命の顔を眺めた。
 次第に視線を上にずらしていくと命の頭が目に入った。
 彼女の頭の上でピョンとウサギの耳のようにハネている2束の髪を見ると顔を綻ばせた。

「みことおねえちゃんのかみのけうさぎさんみたい、うふふ、おもしろいの」
「え、これ? うふふ、良いでしょう。お気に入りの髪型なのよ。サクラちゃんにもして上げようか」
「うん、おねがい」

「よろしい。ちょっと待ってね、髪を梳かして上げるから」
 命はポーチからブラシと予備のウサギカチューシャを取り出すと、膝の上に置いた。
「はい、じゃあこっち向いてね。ジッとしてね」

「うん」

 命は紗孔羅の正面から順々に髪の毛を梳かして行った。
 ここの所手入れをしていなかったみたいで梳ると滞る所もあったが、元々がサラサラヘアーのため少しツンツンしていた髪も大人しくなった。

「ミコトおねえちゃんのて・・・お母さんみたいにやさしいの・・・うれしいな・・・」
「うん。女の人はみんなそう成れるの。サクラちゃんもね」
「・・・うん・・・そうだといいな」

「だいじょうぶよ。だってさくらちゃんてすっごく可愛いんだモン。すぐよすぐ」

「・・・ありがとう・・・みことおねぇちゃん」

「さて、最後に獅子王博士特製のカチューシャに髪の毛を乗せて出来上がりー」
 命は努めて陽気に声を上げると手鏡を取り出して紗孔羅の前に差し出した。
 そして、紗孔羅の顔の横に自分の顔を並べて鏡を覗いた。
「ほーら、お揃いよ。サクラちゃん可愛いー」

「うん、うれしいの・・・ありがとお・・・みことおねえ・・・ちゃん。・・・・・・くー、すー、」

「サクラちゃん? ・・・寝ちゃったみたい。お休みなさいサクラちゃん」
「おやすみ、さくらちゃん。行こうかミコト」
「うん、又来ようねガイ」
 ふたりは紗孔羅がすっかり眠ってしまったのを確認すると、静かにその部屋から出ていった。





 改訂版の後書き
 こんにちはアイングラッドです。
 実は、これを書くに当たってひとつ間違いが見つかったため訂正しました。
 なんてこったぁ! ガオガイガーとベターマンて一年違うけど同年代の話じゃなかとですかね。
 俺はてっきり、ベターマンに出ていた牛山少年がガオガイガーに出ていた牛山末男少年とばかり思い込んでいた為、小学3年から高校2年かぁ、だったら8年後が舞台なんだなァとか思っちょったらアンタ、ベターマンの牛山君は牛山4兄弟の2男、次男くんではないですかね。
 おまえ達は上から下まで全員同じ仇名なのか! 同じなんですね。そう言えば長男と末っ子も同じウッシーって仇名だったな。やられたー
 がっくし
 と云うワケで、過ちは直ちに正さなければならん。
 てな次第でございます。
 そう云うことで紗孔羅ちゃんには急遽14歳になってもらいました。
 話にムリが、って前からか。つまりはそう云うことで。





スーパーSF大戦のページへ





日本連合 連合議会


 岡田さんのホームページにある掲示板「日本連合 連合議会」への直リンクです。
 感想、ネタ等を書きこんでください。
 提供/岡田”雪達磨”さん。ありがとうございます。


スーパーSF大戦のページへ


SSを読んだ方は下の「送信」ボタンを押してください。
何話が読まれているかがわかります。
その他の項目は必ずしも必要ではありません。
でも、書いてもらえると嬉しいです。







 ・  お名前  ・ 

 ・メールアドレス・ 




★この話はどうでしたか?

好き 嫌い


★評価は?

特上 良い 普通 悪い